5.大手の音楽教室がいい? 個人のピアノ教室がいい?
2019年10月31日 16時09分
お子さんがやる気になって、じゃあ始めましょうとなりましたが、さてどこでレッスンを受けましょうか。費用の面については「3.デメリット」で、大手音楽教室と個人のピアノ教室それぞれについて触れています。その他の面について、大手と個人、それぞれのメリットとデメリットを整理します。
5.⑴まず、それぞれの基本的な枠組みから。ただし、個人ピアノ教室については、人それぞれのばらつきが大きいことを念頭に置いてください。
【大手音楽教室】
- 幼児はグループレッスン、小学生以上は個人レッスン
- レッスン回数…… 年間40回くらい、週一回
- 月謝の相場…… 月6000円から(別途、設備費がかかります)
- 入会金…… あり
- 教材費…… 半年ごとに5000円程度
- 発表会…… 大きなホールで開催
- レッスン内容…… 会社ごとに定められたレッスン内容
【個人ピアノ教室】
- 何歳から始めても個人レッスン
- レッスン回数…… 年間40回くらい
- 月謝の相場…… 月5000円(年齢・目的・地域による)
- 入会金…… ある場合が多い
- 教材費…… レッスンのペースにより、1冊終わったら次の教材を購入
- 発表会…… 1~2年に一回、先生の自宅やコミュニティホールで開催
- レッスン内容…… 先生によってかなり違う
以上が基本的な枠組みです。
5.⑵大手音楽教室のメリット・デメリット
【メリット】
・料金体系が明瞭(個人教室の中には不明瞭なところもあります)。
・レッスンのレベルや質が均一で安定している。
・先生と合わないようであれば、変えてもらうこともできる。
・教室の数が多い。
・引っ越しても同じ会社の教室が見つかる。
・発表会は最低年に一回あり、けっこう立派なホールで演奏できる。
・グレードテスト(進級テスト)が受けられる。
・電子ピアノにも対応してくれる。
・諸費用はクレジットカードや振込でも支払える。
【デメリット】
・費用が個人ピアノ教室より高め。
・振替レッスンができない場合が多い。
・個人レッスンでも個々の要望に応えられないことが多い(弾きたい曲など)。
・片手間で教えているいいかげんな先生もたまにいる(個人は経営がかかっていますから、たいてい熱心です)。
・発表会に対する情熱がイマイチな場合がある(もっとも効果的な宣伝の機会ですから、個人でやっている先生はかなり気合いが入ります)。
・高価な楽器を購入しなければならない。
ヤマハ音楽教室とカワイ音楽教室が昔からある2大大手ですね。テレビでコマーシャルをやっていますから、誰でも知っていると思います。
直営教室もありますが、フランチャイズ方式でも展開しています。そのため地域によっては規模が小さい教室しかなくて、上記の「先生が選べる」メリットがほとんどないこともあります。
こうした点も含めて、上記のメリット・デメリットは絶対ではありません。お子さんを通わせる可能性のある教室に直接足を運んで、たしかめることが大切です。
5.⑶個人ピアノ教室のメリット・デメリット
【メリット】
・振替レッスンが可能な場合が多い(生徒側の都合による欠席の場合は不可という先生もいます)。
・レッスン時間が40分~1時間と大手音楽教室より長め。
・個人の要望にある程度応えてくれる(弾きたい曲など)。
・たいていの先生は音楽への情熱があって指導も熱心。
・発表会に気合いが入っている場合が多い(生徒数があまり少ないと開催しないこともあります)。
・そのため、発表会前に補講レッスンをしてくれることもある。
・自分でピアノを買わなくても対応してくれる。
・個人ピアノ教室を全体として眺め渡すと、たいへん多様・多彩なサービスが提供されていて、ありとあらゆる目的のレッスンに対応できる(趣味のレベルから、教師志望、音大・音高志望、海外留学志望などプロレベルまで)。
続いて「デメリット」なのですが、何度も書いているように、個人ピアノ教室に関しては「人それぞれでさまざま」で、本当にばらつきが大きいのです。ですから、「デメリットでもあるがメリットでもありうる、微妙なもの」も入ってきます。
【デメリット】
・月謝がバラバラ。有名な先生、実績のある先生だと非常に高くなることも。(そういう先生も選べるという意味では、メリットでもあります。)
・料金体系もバラバラ。年齢によって月謝が上がっていくこともあります。
・お中元、お歳暮が必要かも。生徒の保護者たちの間にただよう「空気」というか「雰囲気」というか、「忖度」めいた圧力があって、受け流すことができない……とか。
・クレジットカードや振込での支払いはできないことが多い。
・そのため、月謝は「ピン札で」払わなければいけない気がする。
・挨拶などのマナーは必須。これはむしろメリットですね。
・カリキュラムが先生によってバラバラ。ですが、お子さんに合うものに出会えればラッキーということです。
・電子ピアノ不可の先生もいる。ですが、音楽を学ぶうえでは、どの楽器でもアコースティックの方が断然良いです。その意味で、あまり大きなデメリットではありません。
・相性の問題がある。本当に習いたい先生なのに、いざついてみたら相性が……という悲劇は、残念ながら起こりえます。